決勝の放送直後から大公開 番組未公開!シェフの裏話

山下 泰史

新しい障害者施設を!
自分の夢に近づくため
この大会に挑戦。

山下 泰史(35)

福岡県代表 / フレンチ
TTOAHISU オーナーシェフ

大和学園京都調理師専門学校卒業後、長崎のハウステンボスにあるホテルヨーロッパ『デ アドミラル』で3年勤務。京都『ルヴェ・ソン・ヴェール』、長崎『ホテルモントレ』、東京『シャトーレストラン ジョエル・ロブション』、東京『アムール』等で勤務後、2016年、福岡に『TTOAHISU』をオープン。

家族への恩返しと、夢のために挑戦。
地方には少ない貴重なチャンスだった。

僕がDRAGON CHEFに挑戦した理由は、何よりも家族のためでした。料理人は朝から晩までお店で働いているので、家族のための時間があまり多く取れません。障害を抱えている子供たちを育て、家族を支えてくれている妻に、賞金で恩返しがしたかったのです。
また、僕は5年後くらいを目安に、今までにない障害者施設を作ろうと考えています。「行ってあげる」という意識ではなく、「格好良いから(面白いから)行きたい」と思えるレストランです。料理・音楽・ファッションなどがコラボしたイベントを行うなど、新しい何かを生み出していきたい。
優勝できれば僕自身の発言力が高まるでしょうし、自分の思いをテレビの全国放送で広く発信できれば多くの協力者とつながることもできるはずです。この夢を叶えるため、料理コンクールなどのイベントには積極的に参加したいと考えています。

お店のこだわりを、そのままに。
素材を引き立たせる、僕の料理で勝負!

「料理のスタンスは変えない」と、僕はこの大会で幾度も発言してきました。僕のスタンスとは、素材を引き立たせること。そして、何を食べさせたいのかが分かる料理を作ること。レストランであっても、DRAGON CHEFであっても、それは変わりません。僕はお店の名前を背負って出場したので、もしも恥ずかしいことをしてしまえばお店のファンの方々にも失礼になってしまいます。
須賀シェフのコメントと向き合うことは、成長するために大切です。しかし、須賀シェフの好みに寄せた料理を作るのは違う。僕の料理で「おいしい」と思わせられなければ、勝てたとしても意味がありません。そんな思いから、準決勝までは喧嘩するくらいの意気込みで駆け抜けました。
そして、いざ決勝の舞台へ。「ここまで来たら、誰よりも楽しんでやろう」という気持ちで臨みました。調理を終えて甲板に上がった時は、まさに最高の気分。この大会で一番感極まった瞬間でした。

決勝で出した「麦茶のチーズケーキ」は
スペシャリテを進化させた自信作。

決勝のコース料理は、九州の乳製品などを使用しながら、自分のスタンスを一切曲げずに作りました。
脂の多い豚バラはミンチにし、最小限のハーブとたまねぎだけを練り込んで焼きました。わさびだけを乗せ、肉の旨味をしっかり味わえる一品に。脂の少ない豚ロースは、キウイやサントリーのビールなどで1時間ほどマリネ。浸透圧で塩分を含ませ、しっとりとした味わいに。肉感としっとり感の相対感を楽しめるメニューに仕上げました。想定外だったのは、外で食べること。日頃から提供温度を大切にしている僕にとって、試食までに冷めてしまう状況は痛手でした。
マンゴーはそのままで十分においしかったので、組み合わせるものを工夫しました。スペシャリテのチーズケーキで、新しい味を生み出せないか…。そこで思い付いたのが「麦茶のチーズケーキ」でした。これが、びっくりするほどおいしい!今後お店でも出そうと思っているので、ぜひ食べにいらしてください。

志ある料理人たちが集い、
より高いレベルで競える大会へ。

コロナ禍の影響で、お酒のメーカーも決して楽ではないはず。それにもかかわらず、この大会を実現し、僕たち飲食業界を応援してくれたプレモルは本当にすごいと思います!僕の店でも、料理との相性を考えてプレモルの〈香る〉エールを提供していますが、今回さらに思い入れが強まりました。
DRAGON CHEFはせっかく生まれた新しい料理コンクールなので、これからも続けていってほしいですね。全国には、年齢に関係なく志の高い料理人たちがまだまだたくさんいます。何らかの事情で出場できていない方々を、ぜひこの場に引きずり出してほしい。そして、より良いルールのもとで、より高いレベルでしのぎを削り合える、もっともっと面白い大会に発展させていけるとうれしいです。もちろん僕も再挑戦して、次こそ優勝したいと思っています。

山下シェフが作る料理にも相性抜群
〈香るエールが飲めるお店はこちら