2022年チャンピオン 大原正雄インタビュー

2022.12.16

優勝後は予約の電話で回線がパンク!

前回大会で優勝してから、お店に変化はありましたか?

テレビ放送後は、お店の状況がだいぶ変わりました。コロナ禍でしたので、予約もずいぶん落ち込んでいたのですが、放送中から予約の電話が鳴りやまず、電話回線がパンクしてしまうほど。結局、放送日だけで300件以上の予約をいただきました。あんなに爆発力を秘めていたとは・・・!と驚きました。僕のお店は高価格帯(のフランス料理店)ということもあり、あまり期待をしていなかったのですが、やっぱりテレビはすごかったですね。

たくさんの新しいお客様とも出会えるきっかけになりましたし、今まで迷惑をかけてきた両親にも恩返しができたかなと思っています。両親は、まさか頂上までいくと思ってなかったみたいで、相当衝撃を受けていましたね。あと、店のオープン当初から僕を支えてくださっているお客様たちのステータスアップに繋がったことも嬉しいです。

王者としての風格が芽生えるなど、シェフ自身が新たに意識されるようになったことは?

優勝したことで、追われる立場になってしまったなと思いますね。街中で声をかけられることも増え、先日はサウナでお声がけいただいて。全裸で「こんな姿ですいません」となるので、結構困りましたね(笑)。

意識としては、「CHEF-1グランプリ」というタイトルが獲れたことを自負するようになりました。僕は変にストイックなところもあるので、自負の気持ちが増えるといいことがない。1回ゼロからやろう!という風に気持ちを切り替えないと、調子に乗って痛い目にもあってきているので・・・。ですから、風格を出すより、新たに気持ちを引き締めようという感じですね。

戦っている最中に感じたことや、勝ち進んでいくときに周りの変化はありましたか?

(自分のお店の)従業員が「辞めたい」と言わなくなりましたね。やはり、優勝したシェフの店にいたという経験は若い料理人にとっても大きいと思うので。従業員がすぐ辞めてしまうことも、飲食業界では大きな問題になっていますし、スタッフたちにも箔がつくというか、僕の店に勤めていて良かったねと言えるようになったのは大きいですね。

自分は才能がないタイプだと思う

シェフ自身はいかがでしたか?勝ち進むごとに変化はありましたか?

僕は勝ちたいという欲を出さないようにしていたんですよ。勝ちたいという欲に比例して、負けたらどうしようという不安が生まれてくるのでポジティブなこともネガティブなことも何も考えないで、ただひたすら美味しいものを作って、自分の仕事を全うすることだけを追求していました。無感情で挑んだ方が集中もできたので、大会期間中にプレッシャーが重くなることもなかったですね。

では、大会中にしんどかったな、つらかったなと感じたこともなかったですか?

大会では、ひとつの壁を設定されるようなイメージでした。その壁を乗り越えた人間だけが上にいけると考えていたので、別につらいとは感じなかったですね。元々、料理界の武闘派集団のようなところで育てられたことも影響しているかもしれせん。

共に戦ったシェフについては、どんな風に思っていましたか?

みんな僕にはない才能があっていいな、その才能をちょっと頂戴と思っていました。僕は自分で才能がないタイプだと思っていて、人よりも100倍の努力をすれば勝てると思っているので。

一緒に戦ったシェフには、仲間意識という特別なものではないですけど、オーナーシェフとしてやっていると同年代のシェフと話す機会もないですし、料理を通して会話ができるとても素晴らしい体験ができました。番組で知り合ったシェフのお店に食べに行ったり、一緒にイベントをしたりと交流も続いていますよ。

「CHEF-1」は裏切らない。他大会との違い――

今回新たにエントリーしようかなと迷っている方に、メッセージをお願いします。

日本にもいろんな料理の大会がありますし、僕も出場したことがあります。コンテストに出る理由は、やっぱり自分の立ち位置を知りたいという理由が大きいと思います。日々厨房に立ち続けると、今、自分がどこに立っているのかわからなくなりますしね。「CHEF-1グランプリ」は、しっかり実技と実食の審査が続く大会なので、料理のコンセプト設計だけでは勝てない、総合的な力が試されるし、裏切らない。自分の実力をしっかり見せることができれば、その後で夢のような売り上げが立つ。窮地に立たたされた人が最後にチャレンジするのも良いと思うし、出るからには生ぬるい感情ではなく、ガチで勝負に来いと思います。コロナ禍で最近は書類や動画での審査も多いですが、「CHEF-1グランプリ」はしっかりお金をかけて実技の時間を作ってくれる。そこは他の大会と大きく違う点ですね。

優勝賞金はどのように使われたのでしょう?

出場したときお金が目的じゃなかったこともあり、大会中は使い道を考えてなかったのですが、次はアジアの頂(いただき)が欲しいと思うようになりました。ゆくゆくは世界で通用する日本の料理人になりたいので、再来年は富裕層の方がたくさんおられるアジアの国に店を開きます。2030年までには札幌に帰ってくる予定ですが、地元でただお客さんが来るのを待つだけでなく、海外で僕の料理を食べた方が日本に観光に来た時に足を延ばしてくれるようなアプローチもして、日本の美食の文化を守っていきたいですね。

もう一つの目的としては、僕は人口一億二千万人の日本という国で頂点にたったけど、今度は六十億人という世界の中で勝負がしたい。ちなみに、食と宗教は密接に関係していて、アジアで多く信仰されているイスラム教の方に提供する食事を作れていないことはナンセンスだと思ったんです。ですから、イスラム教が多く信仰されている国にいき、現地の富裕層の方たちに、僕のアイデアと情熱と料理が通じるのか勝負をしたいです。優勝賞金はその渡航費にあてようと思っています。

「書類で落ちても優勝することもある!」

優勝経験者として、CHEF-1グランプリの戦い方のコツなどあれば教えてください。

練習を怠らないこと、ルールブックを正しく解釈すること。あと、制限時間が30分だとすれば、30分では絶対に作れない料理を出すという気概を持つことですね。30分で作れる料理を作るのか、普段1時間かかるものを30分に圧縮する作業をするのか。後者の方がより素晴らしい料理になると思います。僕は試合前、いろんな欲を全部捨てて、アスリートのような禁欲生活をしていて、5日間ほとんど寝ていませんでした。3日寝ないと、もう眠たいのを通り越して目がパッチリになるんです。でも、それくらい人生をかけても、ちゃんと報いのある大会です。絶対に裏切られることもない。

大原シェフは第一回大会で一度、書類審査で落ちて、翌年優勝されているのもドラマチックですよね。

書類で落とされると実は結構泣けてしまうんですよね。料理の撮影も必要だし、書類を作るだけでも労力がかかる。通常営業の合間に作業をするのは大変ですが、まずそこから先へ進まないといけない。前回書類で落ちた人も、もう一度自分を奮起させて欲しい。僕みたいに、次の年に優勝する可能性だってある。審査員の方々も、1人の料理人の人生がかかっているというのを実感しながら何度も試食を重ねてくれる。先ほども言いましたが、そんな大会は今、「CHEF-1グランプリ」以外にないと思います。ぜひエントリーして、まずは一回戦(書類審査)を勝ち上がってきてください。人生、変わりますよ!!